今考えてみれば、妙な話でもあるが。


シンには気になることがある。
言うまでも無く、また、聞くまでも無く何かありそうな、ギルバート・デュランダル議長とレイ・ザ・バレルの関係だ。

シンはレイと同室で、一番ともに居るような気もするが、部屋に帰ってレイを見ることは少ない。
しかも、普段無口なレイは議長のことになると良く喋ると思う。これは、気の所為かもしれないが。


「・・・そうかしら?あんまり変わらないんじゃない?レイはいつだって無口よ」


ルナマリアはミートボールを口に詰め込みながら言った。
『シンはレイのことを気にしすぎ』とも言われた。


「そうかな?・・・俺はレイがなんで夜居ないのかすごく気になるのに・・・」
「え?夜居ないの?」


それまで話題にあまり感心がなさそうだったルナマリアの目の色が変わった。
だが、次は疑惑の視線でシンを見る。


「・・・シンと居るのが嫌なだけじゃない?」
「えっ?」
「冗談よ」


軽く笑って返されたが、シンとしては冗談どころの話ではなかった。

俺がレイに避けられてるって?冗談じゃない。
確かにレイのことは気になるが、日常茶飯事例の話をしているわけじゃない!
だが、ルナマリア曰く、シンは毎日レイの話をしているらしい。


「そんなに気になるなら、本人に聞いてみればいいじゃない」


確かに。だが、問題もある。


「簡単に言うよなぁ。レイはああいう人間なのに」
「ああいう人間だからこそ、結構話すかもしれないわ」
「・・・・・」


お前はな、そりゃ話すよ。
話したがり屋だもんな。空のカップが飛んできた。







「あーあ、」


明かりのついていない部屋ほど寂しいものは無い。
いつもドアを開けると部屋は暗い。レイが居ない何よりの証拠なのだが。

ルナマリアにこんなことを言われた。
『シンはレイに依存している』と。


「・・・依存?レイは男なのに?」


そういう感情って、有り?
いや、案外有りかもしれない。レイと議長のもそうだったら・・・。


「い、いやかも・・・」


シンはシーツをかき乱して暴れまわってから、ぴたりと止まっていった。




「・・・さっきから、独り言か?」
うおぉぉぁあああ!?


低い声が室内に響いて驚いた、というよりも肩に軽く触れたその感覚に身震いして、シンは奇声を上げながら高速で振り返った。
そこには、自分の顔から10cm足らずの場所で無表情でいるレイの顔があった。


「ひいぃぃぃっ」


更に驚いて後ずさりしたら、ベッドの足に後頭部を打った。


「い、痛い・・・」


地味。


「・・・失礼だな人の顔を見て驚くなんて」
「もっとこう・・・声をかけたりしてくれたっていいじゃないか!」


逆切れというものだ。レイは悪くない。
でも、その後の反応が悪い。


「でも1人で喋ってて面白かったから」


レイはそういうと真に背を向けてデスクの方へ向かった。


「・・・え?俺、1人で喋ってたっけ」


何のことだっけ。
問いかけるように言ってみたが、レイから返事は無かった。
椅子に腰掛けて、何か黙々と取り組み始めると、自分の話など一文字も聞かないのだ。
それは、自分だからなんだろうか。議長の話なら聞くのか?


「・・・駄目だ!何考えてるんだ、俺!」
「それだ、それ」


思いを吹っ切ろうと声に出したら、レイはぱっと振り返っていった。
あ、これか。これって独り言って言うんだね。
シンは1人で納得してしまった。
レイはまたデスクに向かうと、作業を始めてしまった。


「・・・・」


多分、もう何聞いても話してくれないだろうな。『煩い』とかくらいなら言ってくれるんだろうか。
こんなことを考えている自分は正直アホだと思う。そしてレイも変だと思う。


「・・・ね、レイ」
「・・・・・」


はい、無視でした。だが、漢シン・アスカは此処で終われなかった。
自分よりルナマリアのほうが男前(タリア談)ではこの謎は突破できない。


「夜、どこいってるの?」
「・・・・・」
「いつも居ないけど」
「・・・・・」


レイは聞いていないのか、単に無視しているのか。
このまま喋り続けてたら、何かしら反応してくれるかな。
もう少し粘ってみるか。


「俺、1人で此処にいるんですけど」

「寂しいんですけど」



「レイ!」


最初からこうしていればよかった。シンはレイの元まで駆け寄ると肩を叩いて名を呼んだ。
声量に比例して、その手にも力が入る。
だが、レイはあっさりと体ごとシンの方を向いた。


「聞いてる!?俺の話、」
「・・・何を?」
「聞いてた?俺の話」


嫌な予感がしなくも無かった。此処で聞くのをやめようかなぁとも思った。
結論的に、聞くのをやめておけばよかったと、シンは思った。


「?・・・独り言かと思った」
「あはは、そっかぁ・・・」
「・・・シン?」

「・・・俺、ちょっと出かけてくる」


やっぱりそうかぁ。シンはよろよろと部屋を出て行った。
レイはその背中を何でもなさそうに見ていた。

と、手持ちの通信機が鳴った。


「はい、こちらレイ・ザ・バレル・・・議長。・・・今からですか?わかりました」


立ち上がってため息をつくと、レイも部屋を出て行った。
数分後、レイが部屋に居ると勝手に思い込んでいるシンは、部屋に入るなり猛烈な勢いでルナマリアの下へ走り、言った。


「ルナマリア、議長だ!議長を暗殺しに行くぞ!」




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以上です。私はこれで限界です。
え?CPは何処へ行ったのかって?ホラ、あるじゃないかシンレイが。(無理主張)
もう1発目からこれじゃ、このサイトつぶれちゃうかもね(死)
ああ〜スズメが鳴いてる〜ええい私も泣いちゃえ〜(意味不明)
こんな調子で行きますね。すいません道それちゃってて。