レイは可愛い。
これは議長の口癖。タリアは良く知っている。


彼は例の話を自分に良くする。そのたびに、タリアは笑顔で『そうですか、』と頷いている。毎度のことだ。
だが、内心は『もう、その話聞いたよ』や『早く話し終わってくれよ』と言ったものが多い。
議長がレイに愛を注いでいるのは分かる。でも、それはもう分かった。いい加減にして欲しい。
話すなら、せめてレイに関する新しい話題にして欲しい。それほどギルバートはタリアに同じ話題を何回も話した。この頃、タリアは議長に痴呆が始まったのではないかと気になる。


「あら、レイ」
「艦長」


廊下でレイを見かけたので、呼んでみた。
レイは呼ばれたことに気づき、振り返った。揺らぐ金髪は確かに印象的だ。
容姿端麗。パイロットとしての腕も達つ。だが、ギルバートは彼のパイロットとしての優秀な実績が好きなわけではないだろう。


「議長はお見えになっているけれど、会わないのかしら?」


気になるだろうと思い、タリアとしては気を使ったのだ。
ギルバートはレイに会いたがっている。それを基準に考えたのだが。


「?どうしてですか?」
「え?」


レイは首を傾げて見せた。ああ、どうでもいいのね、この子。
ギルバートとは考え方が違うようで、レイは『どうして』と聞いたのだ。
タリアは失礼だと思いつつ、笑を禁じえなかった。


「いいえ、別に。議長にお会いしてきたら?せっかくだから」


このままでは議長が可哀相だと思う。レイにとってはどうでもいいにしても、議長にとっては『可愛い』レイに会えるか会えないかの瀬戸際になるわけだから。


「・・・そうですね」


レイ本人は分かっていない。タリアの考えや、議長の好意について。分かっていないが、本人は分かろうともしていない。気づかないからだ。
レイは何となくタリアに流されて、一礼すると歩いていった。


「・・・なんだかねぇ」


老人くさい台詞。自分で思った。
だが、ささやかな時は一瞬にして消え去った。


「艦長ぉ!今、レイは何処にいったんですか!?」


シン・アスカだ。これがまた問題児で。この間オーブの代表に喧嘩を売ったらしい。
しょうも無いくらいレイが気になるらしく、毎日『議長のところへ言ったのでは!?』とルナマリアを問いただしているところを見る。
そんな彼に、『レイは議長のところへ行きました』といったらどうなるだろうか。
先ほどまでキューピットだったタリアは、今悪魔に変わった。


「議長のところよ。議長からお話でもあるのかしら?」
議長!!


シンの赤い瞳が揺らいだのが分かる。そこまで驚愕するほどの事実でもない気はするが。
めらめらと空気が動くと、猛烈な勢いで漢シン・アスカは風を切っていった。


「元気ね・・・」


シンを見るとそう思う。レイを見てもそうは思わないが。


「・・・もうアーサーでも連れて旅行にでも言っちゃおうかしら」


プラントここには碌な人間が居ないし。ああ、アーサーもその中の1人か。
と、たまたま後ろを通りかかったアーサーが目を輝かせていた。


「ええぇえええ!!いいんですか!!」
「休みが取れたらね〜。ああ、アーサー、これやっといてくれる?」


タリアはアーサーに背を向けると、報告書をひらひらさせながら歩き出した。


「やります艦長!是非やらせてください!」


その後を、何故か嬉しそうにアーサーが付いていった。


「大人って、馬鹿よねぇ・・・」


一部始終を見ていたルナマリアは、ため息混じりにそういった。




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私はギャグしかかけないからさ、(結論)最後もこうなっちゃうんだよ。
でも、CP物を読むのは大好きだなぁ(HE●NTAIだからさ)
でも年齢が年齢だから制限されちゃう・・・のもある。精神的には自信ありますが。
でも3年後には何の躊躇いもなしに見られるからね(躊躇えよ)
というわけで、ギャグでした。