この頃、シンは議長を敵視しているような気がする。
メイリンは何となくそう感じていた。

そういえばこの間、姉ルナマリアが

『議長とシンでレイの取り合いかな〜』

と、第3者としては全く意味の分からないことを言っていた気がする。
その時はてっきり名前を言い違えたのかと思って、軽く聞き流していたが。
今思うと、名前なんてどういい間違えるのか。レイと。


メイリンは先ほど、食堂でレイと会った。
姉のルナマリアが変な話をレイにしていたから、てっきりレイが困ったんじゃないかと心配していたが、彼は気にするどころか都合の悪いことは聞いていないようだ。
よく出来た頭だ。メイリンは1人感動した。

姉のルナマリア曰く、『シンは議長を気にしすぎ』。レイもそれには頷いていた。


「・・・じゃあ、本当にシンは議長とレイの取り合いを・・・?」


考えるだけ無駄か。
メイリンは妙な話題を方ってぱたぱたと廊下を走っていった。




「うー・・・」


自室でシンは1人、ベッドにまたうつ伏せになって唸っていた。
この頃部屋に居ることが多い。まるで引篭もりだとレイに言われた。


(シン回想)
『俺が部屋に居ないんじゃなくて、お前が部屋に居すぎなんじゃないのか?』
『そんなことない。あんな夜遅くに居ないのはおかしい。何処に行ってるんだよ』
『お前には関係ない』
『議長のところ?』
『どうしてそこで議長がでてくるんだ』


レイは議長の話を出しても表情を変えなかった。
恐るべきポーカーフェイス。シンはいつもこの表情に競り負けている・・・というか、勝負になっていない。簡単に議長の話題をのけられて、シンはむっとした顔をした(してみた)


『・・・その顔面白いかも』
『俺の話を聞いてくれ!』
『さっきから聞いてる』
『・・・・』
(回想終わり)


「議長を何とかしなければ、俺に未来に光はない!」


とか、ベッドの上で1人で叫んでいた。
レイが気になって気になって仕方がなくなってから気づいたことだが、これが恋か!という事態にまで発展してしまっている。もうどうしようもなかった。
議長は自称レイの『親』だ(←my設定)。そんな議長を相手取るということは・・・


「これが恋の障壁か!」
「何を言ってるんだ?」
わぁぁああああっ!!


また突然現れた声に驚いて振り返ると、いつの間にかレイがシンの背後に立っていた。
相変わらずというか、その存在の薄さ・・・といってしまうと失礼な気がするが、気配に全く気づかなかった。それは、シンが1人の世界に入っていたからかもしれない。


「・・・シンは最近独り言が多い」
「そ、そうかなぁぁ・・・」


何故、照れる。
とりあえず、今のシンはレイと話しているだけでデレデレだった。レイはいつものように『変な奴』程度にしか、シンのことを見ていなかったが。


「・・・あれ?またどこか行くの?」
「ああ、ちょっとぎ・・・」
議長!?


シンの目の色が変わった。がばっと立ち上がって、レイの手を鷲掴みにする。


「議長のところへ行くって!?行くの?行くのか!?」
「?・・・行く、けど」
「はわわわわわわっ!」


ダイナミックな演技で、シンは壁に激突した。別に、レイに飛ばされたのではない。勝手に飛んで行ったのだ。


「駄目だ!行かせない!」
「何故」
「何でもだ!どうしても行くんなら、ついてくぞ!」


『どうしても行く』などとはレイは一言も言っていない。
どうだ、まいっただろうとシンは確信の笑みをこぼした。が、


「・・・なら、付いてくればいい」
「え?」


あら?
シンがぽかんと口を開けて唖然としていると、レイはそんなシンの横を通って部屋を出て行ってしまった。


「行っていいの?・・・っていうかあああああ!?」


レイが行っちゃったよ!と思った頃には部屋には自分以外誰も居なかった。
シンは猛烈な勢いで部屋を出た。

漢シン・アスカ、必ずやケダモノ(議長)より姫(レイ)を護って見せます!


どっちがケダモノなんだか。




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レイは天然がいいですね。私はかけませんがあははははは。
このssはどうやら続いているらしいので、次はいよいよ議長vs漢シン・アスカですね!
ちなみに『』は『おとこ』と読みます(笑)