前回までのあらすじ(仮)
シンはレイが気になってたまらない16歳。彼はルナマリア曰く、ホモでした。
ある日、またまた夜遊び(※シンの想像です)へ行こうとするレイを止めるため、シンは
『どうしても行くなら、ついてくぞ!』
のようなことを言いました。
そのあとレイにあっさり「ならついてくればいい」と言われてしまいました。
説明終わり。
「・・・で?結局付いていったの、シン」
ルナマリアは完全にしかめっ面だ。隣のヴィーノは話すら聞いていない。
自分は友達に恵まれてない。シンはため息をついた。
「・・・結局怖気づいて行けなかった・・・」
「行かなかったの!?」
予想通り盛大なリアクションが返ってきて、シンは顔をゆがめた。
「何なの?まったく・・・肝が小っさいわね」
「そうだよ〜付いていかなきゃ意味がないじゃないか」
「もっとこう・・・慰めるとか出来ないのかよ!?」
といっても、自分の知り合いにそんな器用な人間は居ただろうか。ついこの間まで敵視(今もかもね)していたアスランには軽く笑って流された。ヨウランは、逃げた。
マユ・・・お兄ちゃんは不幸だよ。ははは。
「ちょっと意地張ってみたりとかしたの?」
「うん」
「しつこくやった?」
「うん」
「で、相手にされなかったの?」
「うん」
「じゃあ・・・諦めな」
「うん・・・っえ?」
ルナマリアの心理作戦にはまった!というのは勝手な勘違いである。
「って違ーうっ!俺は諦めない!」
「そんな諦めなくってもさ、尊敬なんかしないよ?」
べ、別にお前に尊敬されたくねーよ!だってヴィーノだし。
悩むシンに対して、ルナマリアが居ればヴィーノは強気だ。居なければ・・・それはそれでまた別。
「だってそのうち嫌われるよ?」
「嫌われる?」
「だって女のコはそういうの好かないし」
何を基準に考えてるんですか。レイの話ではなかったのか。
「やだなぁルナマリア、レイは男だよ〜」
「ぁあ、そうだった!」
もう勝手にやっててくれ・・・
「あれ?シン?」
食堂の一角で、向かい合って座っていた3人だが、そこにシンの姿は既になかった。
話を聞いてもらえないことを悟って、いじけたか誰かを捕まえにいったか・・・。
「何よ、人がせっかく相談に乗ってあげようと思ってためになる話を・・・」
ためになりません。
「あー」
ばふっと自分のベッドに飛び乗って、シンは(またまた)うつ伏せになった。
もうこの体勢になれた。息の仕方をマスターした模様。毎回部屋に入るレイはシンが死んでいないか確認しているが。
その時も、レイはあまり深く考えていない・・・考えているのかもしれないが、正直よく分からない。
「喋んないしポーカーフェイスじゃさっぱり分からないよ・・・」
そのとおり。
「あーあ・・・・」
独り言を言っているところを見つかったら、また変な目で見られるんじゃないか。
そうなったら・・・どうなる?
「嫌われるかなぁ・・・」
「誰に?」
後ろから低ーい声がして、誰かと猛スピードで振り返れば。
自分の正面には見事な偶然だが、ベッドの飛び出た足の部分があったわけで。
ごーんと鈍い音が響いた。それはシンの後頭部があたった音だったわけだが。
見事に響いた音に、レイは相変わらず無表情で言った。
「何も入ってないんじゃないか?」
「し、失礼なこと言うなぁ!」
入ってます!中身があるからこんなに悩んでるのに・・・。
「・・・最近部屋に居ることが多いな」
「え?あ、うん」
そうそう、あんたのせいでね。
いや、別にレイの所為ではないのだが・・・気分としては彼の所為だ。
「別に体調悪いわけじゃないけどさぁ、」
「?」
「なんか落ち着くんだよね」
シンの言葉にレイは首を傾けた。が、
「・・・そのうち引篭もりになりそう」
「ならない」
彼には別に悪気があるわけではない。ただ、思ったことを口にしただけなのだが、何か的が外れている・・・だけである。そう、それだけ。
「なんか他に言うことないんですか・・・!」
「ない」
ないのか。
「どっか気晴らしにつれてってくれるとか・・・ないの?」
「行きたい所に行けばいい」
「・・・それもそうだね・・・って」
納得しちゃった!
「レイが!レイがつれてってくれないのかって」
「・・・どうして」
「え?うーん・・・ホラ、ルームメイトが悩んでるし」
「何処に?」
「落ち着く場所」
「部屋が落ち着くんじゃないのか」
「ああそうか」
またやり直しだ。
「そうじゃない!俺が引篭もりになったら困るだろ?」
「・・・別に」
「ええ!?」
地味に傷ついた。
「まあ・・・引篭もりにはならないだろうから」
「・・・ん?」
何か聞こえたよ。ワンスモアプリーズ。
シンが顔を上げると、レイはシンのほうを向いていった。
「お前は引篭もりになるような性格じゃないだろ」
「え?俺?」
「勿論」
嬉しくて口元が引きつったなんて、きっと気の所為・・・いえ、ちょっと痙攣しただけです。
ぱぁっと表情が明るくなったシンを、レイは相変わらず無表情で見下ろしていた。
「そう思う?思う?」
「思わなかったら言わない」
「そっか!」
シンはそういって勢いよく立ち上がった。
格好良く決まるはずが、足首を変について前のめりになったなんて、気の所為。
自分と同じくらいの高さにあるレイの目の前で、思いっきりにこにこ顔になっていた。
「シン、」
「レイ!俺引篭もらないよ!」
とか良く分からないことを言いながら、シンは飛び跳ね、回り、部屋を出て行った。
「何だか・・・」
あのまま何かにぶつかったりしなければいいけど。
その後アーサーの悲鳴が聞こえたのは、きっとレイの幻聴だろう。
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ぁあもう引篭もってろよアブナイから(あんたがね)
みそさん引篭もったほうがいいんじゃないですか?ヒートアップしすぎですよ。
どうやらみそはシンをいじけ役にしたいようです。この後議長出てくる予定(あくまで予定)なのに〜。
ちなみに議長の特技・趣味はセクシャルハラスメントと筑前煮です。