「・・・レイ」
なんでもない日の午後。往生際の悪い『汚い大人』は、自室のベッドの上でそう呟いた。
隣にいる彼を良く知る(熟知している)女性は、その様子に盛大なため息をついた。
「何やってるんです?子供みたいですよ」
「いいさ、私は永遠の子供で・・・」
「何夢みてるんですか?全く・・・」
というのも、可愛いレイが帰ってしまって落ち着かない議長ことギルバートの様子を見に来たまでだった。・・・のだが、ベッドの上で伸びているので死んでいるのではないかとビックリしてドアを開いてみれば、この調子だ。先ほどから彼の名前しか出てこないらしい。これでは依存症だ。
「レイー!」
「煩い」
全く・・・いい年してこのオヤジは。
レイだって青春真っ盛りの17歳。こんな三十路過ぎたおじさんのところにいつまでも居るわけには行かないだろうに(←ちょっと観点ずれてる)
レイはレイで議長のことがそれはもう夜自室に居ないくらい(※シン談)大好きなのだが、このオヤジは度が過ぎる。これではこちらがいい迷惑だ。
「あなたがレイをミネルバに乗せていいといったんでしょうが」
「違う・・・レイが乗りたいといったから私は・・・」
「何だ、フラれたんですか、」
「違う!!笑顔に負けただけで・・・」
「駄目な大人ですね。危険なことも沢山あるのに」
パイロットになるということは、いつも危険にさらされているということなのですよ。
タリアは軽く首を左右に振っていった。こんなこと、あなたもお分かりでしょう?と添えて。
まあ、此処にいても危険にさらされることは多いと思うが。そう、いろんな意味で。
いい加減にしてくださいよ、そういってため息をつくタリアに、ギルバートは静かに言う。
「・・・危険にさらされるから、君に任せているんじゃないか・・・」
「え?」
え?
「議長・・・♥」
ギルバートはタリアに手を差し伸べた。
あらら、背景にバラが!まさか、これはカップリング成立の合図ですか。
「・・・そうですか。それはどうも。でも、だからと言って任務に支障が出るようなことがありましたらその時には・・・どうなるかお分かりですよね」
にこやかにその手をとったタリアの表情から笑みが消え去った瞬間、タリアはその腕を力いっぱい握り絞った、らしい。
「あれ?レイ、」
「?」
部屋に入ったところ、シンは目を丸くした。
いないと思っていた相方が、自分のベッドに腰掛けていたからだ。片手には本、音も無くページをめくっている途中だったようで。
声をかけられて、レイは顔を上げた。何故かシンは笑顔だ。
「え、今日は此処にいるの?居るの?」
「?ああ・・・」
「へぇ〜久しぶりだなぁ」
うきうきでじぶんのベッドに飛び乗った。ベッドヘッドに頭をぶつけた。
鈍い音が響いたが、いつものこと、と2人の表情は変わらない。
シンはぶつけた箇所に手を当てながら言う。
「何で?」
「?何が、」
「何で今日は此処にいるの?」
真顔で言うシンを、レイは不思議そうに見つめていた。
自分から質問したシンは、なんだか恥ずかしくなって自分の質問内容をものすごく頭の中でリピートして考えた。
「・・・用事が無いだけだ」
「あ、そうなの?」
ああ。レイはそれだけ言うとまた手元に視線を戻した。
それだけの会話だったが、レイは自分の向かい側の人物の顔が見る見る笑顔になっていくのを気配で感じた。
「(やった!議長に勝てるかも!)」
シン・アスカ、16歳の現在青春真っ只中。早速大きな勘違いの予感。
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なんか議長がヤバイ大人に・・・(謎)
私の書く議長は皆がなりたくない大人の見本の方ですね。悪い大人の鑑ですね(褒めてないよ)
この頃シンの株があがってます。無駄に可愛いですね。レイのほうが可愛いですk(略)
これからシンと議長の壮絶なレイをめぐったバトルが繰り広げられる・・・といいですね(曖昧)