前回のあらすじ。
ガンダムシードですてにーの主人公シン・アスカ君は、同室のレ・ザ・バレル君に惚れています。
でも彼はシンが自分に惚れていることになんて全然気づいていません。さらにシンには『ギ長』という悪の強敵が居ます。
シン君は日々レイを取られまいと格闘しているのでした。
説明終わり。
「・・・で、何故こんなところに?議長」
人気の無い廊下、相変わらず無表情でそう告げるのは、金髪にアイスブルーの瞳が際立つ少年。
その前でだらしなくニヤつくのは三十路を過ぎた、某艦長曰く『タヌキ』な最高評議会議員のギルバート・デュランダル。普段は(目つきの所為もあるが)威厳のある優秀な議長さんなわけだが。
いつもらぶらぶ(シン談)な2人の様子がちとおかしい。
「仕事はどうされたんです?」
「『議長』かい?レイ」
「・・・ギル、仕事は?」
「まあ、いろいろあってね。今日はちょっとここに・・・」
「(サボったのか・・・)」
職務怠慢というか、職権乱用というか(※どちらもです)
レイは議長が好きである。変な意味ではなく好きである。ただ仕事はちゃんとした方がいいと思う。そうでなければただのおじさんになってしまうと思う。
「とにかくあなたは今すぐにしご・・・」
レイは何かいいかけたとことではっと振り返った。
すごく良いタイミングで角を曲がった人物は、その赤い瞳でこっちをしっかり見張っていた。不審そうにこちらを見ている。というより、明らかに殺意剥き出しだ。その人物はつかつかと2人の方に歩み寄る。
「レイ!(それに議長!)」
「・・・シン、」
シンがレイの前に立つと、議長は面白くなさそうな顔をしてシンを見た。
レイは自分の方にとびていた手の甲をにゅーとつねってシンのほうを見ていた。相変わらず無表情だ。
「あ、」
「・・・ええっと、君は確か・・・」
ギルバートは目を細めて低い声で言った。あからさまでわざとらしすぎるその行為を、シンは相変わらず殺る気満々で、レイは呆れ顔で見ていた。
「・・・シン・アスカです」
「ああ、そうだったな。レイがお世話になっているね」
あんたとレイはどんな関係だよ!?お世話って。
その発言にむっときて、シンは口を開くがレイにポンと叩かれた。
「では、議長。またの機会に」
「ん?ああ、すまなかったね」
シンの闘争心はあっけなくかき消されてしまった。
レイはその場から早く離れたかったらしく、シンをずるずると引きずって議長の視界に入らないところまで移動した。
「あ゛〜もうレイ!放せぇっ」
「今お前を放したら議長にカマしに行くだろう」
「一発殴らせろおぉっ」
「やめとけシン」
襟を掴まれて引きずられるシンは、思いっきり両手をぐるぐる回す。駄々をこねるガキのようだ、と引っ張るレイは思った。
「けほー・・・」
部屋に引っ張られて、自分のベッドに腰掛けた途端、シンはため息混じりに咳き込んだ。
自分のベッドが一番落ち着く場所。ついこの間そんなことを言っていたシンを、レイは本気で大丈夫かと心配する。そのうち引篭もるんじゃないか、シンは。
「れ、レイって意外に力つよいんだね・・・げほー」
「・・・そうか?」
部屋に連れ戻した途端、またいつものローテンションに戻ってしまったレイを、シンは何となく悲しげな眼差し手見つめた。
「・・・なんだシン」
「・・・もっと楽しい人生で行こうよ、レイ」
「は?」
無表情ながら首をかしげるレイの前で、シンはガバッとベッドから立ち上がって、拳を握って熱弁する。
「もっと笑わなきゃ!今俺達は青春真っ只中なんだよ!?バレンタインデーとかでウハウハして、女子の部屋でシャワーの音が聞こえるとデレデレして、同室の子の可愛い仕草とかみてるんるんするのが日常だろ!?」
「最後のは納得行かないけどな」
「とにかく!レイはもっとうはうはしなくちゃいけないんだってば!」
シンがヒートアップして暴走しているあいだ、レイはぼぅっとその様子を(遠めで)見ていた。
シンはそれに気づかず、虚しく1人で喋り続けているわけで。
・・・だんだん馬鹿らしくなってきた。レイはシンを放っておいてデスクに向かうと、1人作業を始めてしまった。
「・・・つーことなんだよ・・・ってレイ、聞いてる!?」
「・・・聞いてない」
即答だった。
「酷い・・・」
「お前が1人で喋っていただけだろう」
そうですね。
「レイ〜・・・」
「・・・・」
「・・・わかったよ、静かにしてるからここにいてもいい?」
「・・・邪魔しないならな」
「うん分かった。邪魔しない」
無愛想なレイの後ろで、此処にいてもいいといわれてるんるん浮かれているシンが居る。
レイはそんな彼をちらりと見やって再び手元の資料に視線を戻した。
・・・何がいいんだか。よくわからないが本人はご機嫌なのだからよしとしよう。
その後シンはレイが声をかけるまで延々、何もせずに部屋に居たらしい。
戻る
シンが暇人になってます。
ちょっとレイにふってみたんですが、流されました。でもまだ議長に負けたなんて考えてないシン。気にしてないレイ。焦ってる議長(笑)
どうなるでしょうか・・・どうなるんだろう。